◆小学館文庫キャラブン!新刊『一(にのまえ)教授はみえるんです 京の都は開運大吉!』のエピソード原案担当をされている、本当に「みえてる」三雲百夏さんの「ココだけの話」をお届けします!
- ――今回のカバーイラストには、一凛子教授の相棒にして優秀な秘書・富士宮咲子さんが登場していますね。
- 三雲百夏(以下/三雲) 凛子さんは女子大生っぽいかわいらしさがありますが、咲子さんはキリッとボーイッシュで素敵ですよね。ふたりとも実年齢はアラフィフなんですけど(笑)。今回も魔物探知犬の「にぬき」が咲子さんにだっこされて登場しているのが、個人的に嬉しかったりします。
- ――ビション・フリーゼの「にぬき」ちゃんは実在する、と聞きましたが本当ですか?
- 三雲 はい。名前も犬種もおなじ「にぬき」は、私が飼っているコなんです。柊坂明日子先生が作中で「モフモフ」「道ゆく人が見ると驚く」というような描写をされていますが、そのあたりはリアルな経験ですね。打ち合わせなどでお会いする時に、柊坂先生はよく「にぬちゃん、モフモフね~」と撫でながらニコニコされているのですが、その様子は作中の咲子さんとカブります(笑)。
- ――まさにマスコットキャラクターですね。
- 三雲 そうだと嬉しいです。実は今回の文庫発売を記念して「河谷シャツ」様が、にぬきをモチーフにしたシャツを作ってくださる……らしいのです。今はにぬきを連れての打ち合わせ段階なので、実際にお目見えできるのはもう少し先になりそうなのですが。
- ――なんと! それは詳しいことがわかりましたら、キャラブン!のTwitterなどでもお知らせしていきたいですね。
- 三雲 ぜひ、よろしくお願いします。
- ――カバーイラストといえば。今回は象徴な赤い鳥居と、つやつやの毛並みのお狐さまも……。
- 三雲 第2話「はぐれ神」に登場する伏見稲荷のイメージですね。商売繁盛では最強クラスのお稲荷さまです。お山全部が神域なので、国内でもこんなに大きいところはちょっと他にないです。作中に「お山する」という、あまり普段聞き慣れない言葉が登場しますが、これは伏見稲荷のためにある動詞ですね。
- ――取材のために、柊坂先生も伏見稲荷を訪れたとか。
- 三雲 そのときは私もご一緒したのですが、少し前までコロナ禍で長く観光客の来訪が減っていたせいか、お山全体がすごく綺麗になっていてびっくりしました。柊坂先生も、短い滞在時間の中で天気が目まぐるしく変わったり、スマホで撮った写真にオーブがうつりこんでいたりと、不思議な体験をされて驚いていらっしゃいましたね。
- ――「みえない」はずの柊坂先生もそんな体験が。やはり三雲さんのように「みえる」人のそばにいると、「みえない」人にも影響が出たりするんでしょうか。
-
三雲 うーん……そこは微妙なところで、実は「みえない」人たちは「自分にはそういうものは、みえないのだ」と認識しているから「みえない」のであって、そのあたりの固定観念を解放すれば、案外普通に「みえる」「感じる」体験ができてしまうものだ、と私は思っているんです。
- ――知らずに「みえて」いる人は、結構多い?
- 三雲 ここ最近は特に「みえる」人というか、みえない世界というものを実生活のすぐそばで自然に「感じて」いる人が、急に増えたように思いますね。実写映画やアニメなどの映像作品にも「あ、これは『みえて』いる(か、感じている)人の表現だな」とわかるようなモチーフが登場することは、ままあるんですよ。
- ――え、それは具体的には……?(興味津々)
- 三雲 『一教授はみえるんです』の第1巻に、片道チケットを持った死者を乗せて霊界へ行くバスが、京都市内を走り回っている……というお話があったんですが、あれと似た感じの映像だと、たとえば『千と千尋の神隠し』で銭婆のところへ向かうのに千尋が乗った、海を走るレトロな電車がありますよね。私、あれを見た時に「やっぱりあったよね」「みえてるの、私だけじゃなかった」と、ストンと腑に落ちたんです。他にも『DESTINY 鎌倉ものがたり』という映画で、死神役の安藤サクラさんが死者を江ノ電に乗せて連れていくというシーンがあるんですが、その映像を見た時も「あ、知ってる」ってなりましたね。死神という存在を含めて「はいはい、こんな感じ」と。
- ――えっ、実際のところ死神っているんですか?
- 三雲 いますね。黒くてシュッとしてて……ジャズが好きだったりとか。けっこうお茶目でノリがよかったりもして、最近だとNiziUを聞いて踊ってたりしました(笑)。
- ――踊るんですか!? ちなみに死神というのは、性別や年齢はあるんでしょうか。
- 三雲 見た感じは男性っぽかったり女性っぽかったり、若く見えたりお年寄りだったりとさまざまなんですが、霊界の存在って基本的にトランスジェンダーというか、中性的なんですよね。
- ――三雲さんは普通にお話しされていますが、新事実ばかりで情報が処理できておりません(笑)。
- 三雲 この世のものではない……つまり「生きている人間ではない存在」って特別な感じがするかもしれませんが、案外庶民的というか普通なんですよ。
- ――そういえば、今回の新刊では、博物館の特別展にいたエジプトのファラオがお茶目でしたね。
- 三雲 そのあたりは本当に「美術館・博物館あるある」なんですよ。駄菓子好きのミイラは多いんです。凛子さんがルーブルに「縫い」に行ったアレも、私の実体験ですね(笑)。
- ――そのあたりを知ってから読むと、ますます面白いですね。ありがとうございました!