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蒼月海里『咎人の刻印 ジャック・ザ・リッパー・ファントム』刊行記念
スペシャルインタビュー

  • ――小学館文庫キャラブン!に初登場の蒼月海里先生。新シリーズ『咎人の刻印』を書こうと思ったきっかけを教えてください。
    蒼月海里(以下/蒼月):ふと、自分の原点とは何だろうと考える機会があったんですよね。
    それで、自分が読者として熱中していた物語を読み返し、「こんな物語が好きだったな」と思い出し、気付いたら筆を執っておりました。(漫画家の由貴香織里さんの世界観がとても好きだったので、少なからず影響を受けているかもしれません)
    完全に趣味で書き始めて、同人誌にでもしたいなと思っていた話だったので、商業出版のご提案を頂いた時は、色んな意味でドキドキしました(笑)
    やりたいことを詰めまくったカルピス原液みたいな作品ですが、広く世に出す機会を頂けて、本当に良かったです!
    ――『咎人の刻印』のテーマは何ですか?
    蒼月:ずばり、『吸血鬼×殺人鬼』です。
    プロモーションでもしつこく打ち出して、帯にまで書いて貰ったフレーズなのですが、本作は御影と神無、二人の物語なのです。
    愛が重い吸血鬼の御影と、愛を探している殺人鬼の神無。二人の出会いから始まるこの物語は、愛を知らなかった神無が、御影や出会った人々との交流を通じて、様々な愛の形を知る話なのです。
    皆さまも、神無と一緒に愛とは何かを考えつつ、神無と御影がどんな結末を迎えるか見守って頂けると幸いです。
    ――今作執筆中、他の著作と「違うな」と思うところはありましたか?
    蒼月:他のシリーズは、問題や疑問に対して、ある程度模範的な解答を提示することが多いんです。基本的には、主人公か、主人公を導く側のキャラクターが解答を用意するんですよね。
    しかし、このシリーズは模範解答を提示しないようになっているんです。神無も御影も、彼なりの解答は持っていますが、それが正しいとは限らない。
    何が正しくて何が間違っていて、何が最善策だと思うのか。
    読者さまにも、この物語の一員となって探す楽しさを、感じて頂ければと思っております。
    ――書いていて楽しいところ、逆に大変なところはありますか?
    蒼月:基本的に、みんなキャラが濃いので、放っておいても動いてくれるんですよね。
    そういうところが楽しいのですが、どんどん好き勝手な方向に行ってしまうので舵取りをするのが大変です(笑)
    あと、神無は今までの主人公とは違って外向的で、言いたいことをズバッと言ってくれる傾向にあるので、その辺は楽しいなと思っております。ただ、彼が言い過ぎた時に、物語としてどうフォローするか頭を悩ませることもありますね(笑)
    ――『咎人の刻印』では巖本英利さんとの初タッグとなりますが、巖本さんのイラストはいかがですか?
    蒼月:実は数年前、書店で巖本さんが装画を担当された本を見かけて、それで一目惚れしたんですよね。その時、普段は読まないジャンルの小説を、初めてジャケ買いしてしまったんです。
    いつかご一緒出来たらいいなと思っていましたが、まさか実現するとは!
    巖本さんのイラストは、カッコよさとセクシーさを兼ね揃えていて、ちょっと妖しさを孕んでいる本作のキャラクター達をとても魅力的に描いて下さっているなと思います!
    いやはや、本当に頭が上がりませんね(コメツキバッタのポーズで)
    ――『咎人の刻印』では、他作品で活躍中のキャラクターも登場していますね。このひそかなゲストキャラの紹介をお願いいたします。
    蒼月:デビュー作の『幽落町おばけ駄菓子屋』に登場する、外科医の都築さんが1巻にゲストキャラとして登場してますね。
    幽落町シリーズでは2巻から登場していて、かなり重要なキャラクターでしたし、昔はもっと尖っていたのです……!
    彼も大きなドラマを持っているので、興味がある方は是非、幽落町シリーズもチェックしてやって下さいませ!
    あと、2巻に登場する或るキャラも、こっそりと幽落町にも登場してます。
    ――『咎人の刻印』における蒼月先生のこだわりポイントは?
    蒼月:基本的には、完全な善人や完全な悪人というのを出さないようにしています。
    皆、何かしらの事情を背負っていて、誰かにとって善でも、誰かにとって悪だったり、対立関係だったキャラクターも事情を知ることで仲間になったり、その逆もあったり。
    そんな、生きている人間関係を描ければと思っております。
    ――『咎人の刻印』の登場人物に、生みの親(著者)として言いたいことがありましたらぜひ。
    蒼月:基本的には、「強く生きろよ……」としか言ってあげられないですね……。
    咎人は罪の重さの分だけ苦しまないと終われない(この最悪長寿システムは、海外の懲役刑を元ネタにしてます。懲役14万年なんてあるんですって。ひえー)ので、咎人になってしまった時点で過酷な運命が待ち受けております。
    イケイケなインフルエンサーだった神無も、1巻の2話にして、皆さまの前に中身をさらすことになっていますしね……。その後も、彼は生傷が絶えません。
    膝は折れても心は折れないで欲しいし、また立ち上がって欲しい。
    罪を償いつつも、彼らなりの幸せを掴んでくれることを祈りつつ、そっと草葉の陰から見守ってようかと思います(死んどる)。
    ――今後の展開について、公開可能なところまで教えてください。ひそかな野望などもありましたら……。
    蒼月:神無と御影の交流をたんまりと書きたいし、異能バトルも書きたいし、回収したい伏線もあるし、とにかく、やりたいことはいっぱいですね。
    『咎人の刻印』の設定や人物を使用しつつ、他にも話を拡げてみたいなという野望もあります!
    ――ありがとうございました。では最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いいたします!
    蒼月:いつも蒼月作品に触れて下さっている皆さまも、初めて蒼月作品に触れる皆さまも、『咎人の刻印』を楽しんで頂けますと幸いです!

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