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小学館文庫キャラブン!&集英社オレンジ文庫 3ヵ月連続刊行、第2弾!
「廃妃は再び玉座に昇る 耀帝後宮異史」刊行記念
はるおかりの特別インタビュー

  • ◆「廃妃は再び玉座に昇る 耀帝後宮異史」完成秘話

    ――3ヵ月連続刊行の第2弾となる「廃妃は再び玉座に昇る 耀帝後宮異史」が刊行となりました。まずは、どのような経緯で「廃妃」の物語が生まれたのか、お聞かせください。
    はるおか:中華もの、とくに後宮ものでは皇太后が黒幕になることが多いので、いつも悪役にされてしまう皇太后をヒロインにしてみたいと思いました。中国史にはわずか15歳で皇太后になった女性もいますが、一般的に皇太后と聞いてイメージするのは、西太后のような圧倒的な権力を持つ恐ろしい女性だと思います。実はその西太后も皇太后になったのは26歳のときで、はじめから政治的に強い力を持っていたわけではないのですが。

    ヒロイン・美凰はよくある皇太后像から離れた存在として設定しました。
    逆に、いわゆる西太后路線の「皇太后」のイメージは美凰の伯母である凶后が一手に引き受けています。
    皇太后をヒロインにする際に「廃妃」というステップを踏もうと思ったのは、北宋は哲宗の廃后・元祐皇后孟氏について知ったからです。孟氏は廃后されて宮廷から追放されていたことが幸いして、北宋末の動乱にまきこまれずにすみ、のちに南宋の朝廷に迎えられて皇太后になった女性です。
    彼女の人生から、皇后→廃后→皇太后のルートを参考にして「廃妃」を作りました。
    ――「廃妃」の物語の世界や舞台のモデルや参考とした時代を教えてください。
    はるおか:モデルとした時代は北宋です。ときどき南宋も混ぜています。
    北宋の官職は複雑怪奇すぎて、史実のままでは使えないのでわかりやすく改変しています。宦官制度、後宮制度にもかなり手を入れました。
    宋代は皇太后が活躍した時代ですので、そういう意味でもいろいろと参考にしています。
    ――美凰が経験した過去の出来事は非常に苛酷なものですが、美凰というキャラクターを生み出す際に、どのような点を重視しましたか? また当初、どんな主人公にしようと思いましたか? そしてそれはご執筆中に変化などありましたか?
    はるおか:実はこの作品を作るまえにもうひとつプロットを作っており、そちらのヒロインは継母にいじめられている不遇なヒロイン(でも、ざっくばらんとしていてへこたれないタイプ)でした。すでに書きはじめていたんですが、書いている最中になにか弱いなと思ったんです。というのも、なにせへこたれないヒロインなので、継子いじめくらいじゃノーダメージなんです。ヒロインにはもっとひどい目に遭って欲しかったので、思い切って初期設定をぜんぶ捨てました。

    新しい話を作る際、ヒロインをとことん追いつめるにはどうしたらいいかと思案しました。結果、できたのが美凰です。
    蝶よ花よと育てられたお嬢さまから皇后へ、婚礼の夜に皇帝に弾劾されて罪人となり処刑され、さらには廃妃となり幽閉されて十年、そして新帝に招かれ皇太后として皇宮に帰還と、美凰の立場はめまぐるしく変わります。悲惨な過去の事件により、しゃべりかたすらも変わってしまいますが、根っこの部分は変わっていないのではないかと思います。
    ――美凰と天凱の関係についておうかがいします。美凰は天凱よりも実年齢は年上です。しかし、美凰の外見年齢はまだ十代で、外見と内面で年齢差が逆転しています。どうしてこのような特殊な年齢設定になったのでしょうか?
    はるおか:天凱と美凰の年齢を逆転させようという発想がまずありました。
    子ども時代に別れた天凱と再会したとき、彼がすっかり大人になっていたら面白いのではないかと。知らないひとのような、でもどこか懐かしいような、ふしぎな感覚を書きたいと思いました。
    また、美凰の姿が昔のままであることで、天凱は否応なく昔に引き戻されてしまい、戸惑いや葛藤が生まれるのではないかと思ってこのような設定にしました。
    ――美凰が使役する明器(死霊)の、高牙、如霞、星羽というキャラクターも印象的です。どのような経緯で誕生しましたか?
    はるおか:明器はまず美凰と外見年齢が近い高牙を作り、次に美女キャラが欲しかったので如霞を作り、最後に子どもがいたほうがいいなと思って星羽を作りました。
    ちょうど『妖怪人間ベム』のベム、ベラ、ベロみたいな感じです。
    裏設定というほどじゃありませんが(作中に書いていますので)、高牙の実年齢は300歳以上、如霞は1000歳以上、星羽は54歳です。
    ――凶后と呼ばれることになった劉彩麟は、まだまだ謎が多そうです。作品の中では描いていない設定を教えていただけないでしょうか。
    はるおか:一言でも話すとネタバレになってしまいそうなので黙っておきます。
    ――登場するキャラクターの中で、特に思い入れのあるキャラはいますか?
    はるおか:思い入れがあるというか、書きやすかったのは勅命で離宮まで美凰を迎えに行く怖がりな大男・袁勇成ですね。裏がない、見たままのわかりやすい人物なので。
    野次馬根性まるだしの宋祥妃も書きやすいキャラでした。
    逆に書きにくかったのは美凰付き宦官の圭鹿鳴です。彼はずっと猫をかぶっていたので描写しづらいなと思いつつ書いていましたが、ある事件をへて本心があらわになってからは書きやすくなりました。
    ――お気に入りのエピソード、シーンを教えてください。
    はるおか:いちばん気に入っているのはラストシーンです。プロットの段階から早く書きたいと思っていました。本作はここを書くためにあったような気がします。
    ――夏目レモンさんの表紙イラストを初めて見たときの感想をお聞かせください。
    はるおか:素晴らしいの一言です。美凰の目もと、豪華な髪飾りなど、細かいところまで美しさであふれています。華やかでありながら落ちつきのある色遣いには見惚れずにいられません。
    ――夏目さんへの依頼の際、どのような希望、注文などを出されましたか?
    はるおか:美凰の衣装や髪型をゴージャスにしてくださいとお願いしました。想像以上の出来栄えに惚れ惚れしました。
    ――夏目レモンさんに表紙イラストをお願いしようと思ったきっかけを教えてください。
    はるおか:ネットをうろうろしているときに夏目レモンさんのイラストを見つけて一目惚れしました。上品なのに艶っぽい女性や、しっとりとした色遣いに心惹かれます。どの作品にもオリジナルの世界観があざやかに描かれており、オンリーワンの魅力を持っていらっしゃるイラストレーターさんだと思いました。素敵な着物姿の女性を描いていらっしゃったこともあり、ぜひ廃妃を描いていただきたいと思い、お願いしました。

    ◆はるおかりのが紡ぐ、中華の世界

    ――古代中国をモデルにした異世界を創造することの楽しさを教えてください。また逆に、大変だと思う点は?
    はるおか:中国史にはそれぞれの時代に面白みがあるので、その時代ならではの文物や問題を考えながら設定を作るのが楽しいです。

    大変なことは言葉の表記ですね。衣服は言うまでもありませんが、作中では時代感を出すために現代的な用語を可能な限り排除しますので、なにげなく日常で使う言葉が使えなくて困ることがあります。
    モデルとする時代に存在しないものを登場させるか否かで迷うこともありますね。たとえば、漢代をベースにするなら紙や椅子を使えず、唐代なら冊子本や扇子が使えないというような。これはこの時代にあったかな、と小一時間悩むことが多いです。
    ――もともと中華ものに興味を持った、きっかけは?
    はるおか:中学時代、『十二国記』に出会ったことがきっかけです。緻密に構築された世界観に衝撃を受けたのを覚えています。その後、自分なりに中国史の勉強をしてきましたが、中国文学をちゃんと読みはじめたのは、恥ずかしながらごく最近のことです。読む前は難しそうだなと思っていても、読んでみると案外面白かったりして楽しいです。
    ちなみに、中国古典のなかで好きなのは『老子』と『晏子春秋』です。『漢書』の王莽伝も夢中になって読みました。
    ――今回、集英社オレンジ文庫の2作品と「廃妃」で3作品連続刊行となりました。それぞれ、どういった点を一番描きたいと思っていたのでしょうか?
    はるおか:「廃妃」でいちばん描きたかったのは、廃妃から皇太后になってしまったヒロインと皇帝ヒーローとの微妙な関係性です。過去と現在で変わっているところ、変わらないところがあるので、そのあたりに注目していただければうれしいです。

    「後宮染華伝」は皇貴妃として後宮を治めるヒロインを軸に、おのおのの役割を背負って生きる人びとを書きました。後宮という舞台にいろんな演者が入れかわり立ちかわりあらわれて芝居を演じ、そして去っていくというのが後宮シリーズの特徴です。

    「九天に鹿を殺す」で描きたかったのは、命がけの玉座(イス)取りゲーム・九天(きゅうてん)逐鹿(ちくろく)に興じる皇子たちの悲喜劇と、彼らを彩る人たちの結末です。敗者が敗者になってしまった理由、最後に残った人物が玉座を得る代わりに失ったものなどの描写に力を入れました。
    ――さいごに、読者さんへメッセージをお願いします。
    はるおか:ずっと書きたかった皇太后の物語をようやくかたちにすることができました。  私自身、とても楽しんで執筆しましたので、読者のみなさまにも、ほんのすこしでもよいので楽しんでいただければいいなと、切に願っております。

    ◆はるおかりの、3ヵ月連続刊行

    第1弾
    「後宮染華伝 黒の罪妃と紫の寵妃」
    イラスト:Say HANa
    集英社オレンジ文庫刊 好評発売中

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    第3弾
    「九天に鹿を殺す 煋王朝八皇子奇計」
    イラスト:アオジマイコ
    集英社オレンジ文庫刊 2020年8月刊行予定
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