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「小学館文庫キャラブン 第2回アニバーサリー賞」

選考結果

たくさんのご応募をありがとうございました。
厳正な審査の結果、受賞作品が決定しました!



アニバーサリー賞 受賞作

ひるね「就活に落ちまくり、あらゆる職業の適性がゼロのおれですが、このたび魔法使いの才能を見出されました。」


【講評】
就職活動で連敗し、自己肯定感が地に落ちた大学生の斗真の前に「人の記憶を本にする魔女」のキリカが現れる。キリカに才能を見いだされ、彼女の後継者に指名された斗真は、魔法使いの弟子として修行を積むべく、空中都市アークアに足を踏み入れるが……。

男性主人公の視点で書かれた作品。うまくいかない就活で心が折れる主人公に、すぐさま訪れる人生の転機。魔女にスカウトされ、異世界で「魔法使い」のインターン期間に突入するというジェットコースター的展開をコミカルな筆致で描きつつ、一方ではしんみりと心に響くシーンを違和感なく盛り込み、読後感よく仕上げた点に評価が集まりました。
書籍化にあたり魅力ある登場人物を増やしていくことで、物語にさらなる厚みと面白さが加わるだろうという期待をこめ、「アニバーサリー賞」に決定いたしました。


※受賞作文庫化の際、創刊6周年記念イラストをカバーイラストとして使用するため、六七質さんが今後、受賞作に合わせた登場人物などを描き加えてくださいます
※受賞作は加筆改稿の上、2025年の刊行を目指します




月ヶ瀬杏「黒の騎士とふわふわパンの幸せ魔法」


【講評】
「食べればひととき望む幻想を見る」ことができるパンを作る少女と、黒騎士の物語。
よく練られた設定と丁寧な描写から、筆力の高さがうかがえる良作です。ヒロインに嫌味がなく展開も堅実で、良質な童話のような読後感があります。しかし、まんべんなくきめ細やかな書き込みがなされているがゆえに「話の進みが遅い」「刺激が少ない」と感じられてしまうのが、もったいないところです。


染井由乃「嘘つき魔術師と蝶々姫」


【講評】
亡国の王家の血をひく女性騎士と、不思議な蝶にまつわるファンタジー。
イメージイラスト内に描かれた「蝶」を独自の設定で彩り、物語の最重要アイテムとした力作。キャラクター描写もこなれており、今後に期待が高まるストーリー展開も巧妙なのですが、読者が設定を咀嚼する前に過去や現在のエピソードが進行してしまうため、「物語の楽しさ」を理解する前に1話のエンディングを迎えてしまうのが、やや残念に感じられました。


白瀬あお「帝国のまがいもの夫婦」


【講評】
「複製」の異能をもつ少女と、彼女を監視する軍人青年の物語。
表向きは夫婦としてふるまうものの、内情は監視者と被監視者である男女……という、おいしい設定が光りました。筆力が高く、メインキャラの素直さと、心温まるエピソードの構築には好感が持てます。ただ、ストーリー全体が同程度の解像度で描写されるため、幹と枝葉の区別がつきにくく、読後に物足りなさが残りました。


日野「降りしきれ綺羅星の雨」


【講評】
今回の応募作品の中では珍しい、和風ファンタジー。
舞台は、上空に浮かぶ皇領府が下界の人間を管理する世界。主人公らは「人柱」と呼ばれる一種の人造人間で、特別な能力を持ち、いずれレジスタンスとして権力に立ち向かうことになる……という、ハードモードな展開が目をひく作品です。設定にもこだわりがあり、著者が書きたい方向性も見えるのですが、キャラクターが物語の都合で動かされている印象があり、エンタメに昇華しきれませんでした。





【総評】
第2回を迎えた「アニバーサリー賞」ですが、今回もプロ・アマを問わず力作が多く、六七質さんの美しいイラストに着想を得た、即戦力となるような投稿作が目立ちました。
このたびも、たくさんのご応募をありがとうございました。

最終選考会では「アニバーサリー賞」受賞作品の装画となる「レーベル創刊6周年記念の描き下ろしイメージイラスト」を描いてくださいました、イラストレーター・六七質さんをお迎えし、小学館文庫キャラブン!編集部の評価で受賞作を決定しています。
最終選考に残った5作品については、どれもすでにエンタメ性・文章力において商業作品の域に達しており、読者の視線を意識した物語づくりができているものばかりでした。
中でも「就活に落ちまくり、あらゆる職業の適性がゼロのおれですが、このたび魔法使いの才能を見出されました。」は、ストーリー展開がテンポよく、キャラクターもいきいきと動いていて、「読むこと」の楽しさを再認識されてくれました。このエンタメ性に特化した個性が高く評価され、第2回「アニバーサリー賞」に満場一致で選ばれました。
上記受賞作については加筆改稿を行い、2025年に《小学館文庫キャラブン!》にて刊行予定です。

アニバーサリー賞を通じ、今後、小説家を志す多くの方々が、ご自身の可能性を開花させる場所として《小学館キャラブン!》を選んでくださいましたら嬉しいです。

次回もまた楽しい企画や賞を準備中です。
決定しましたら《小学館文庫キャラブン!》公式Twitter()にて告知しますので、ぜひご注目ください。

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